第16回 エイブル空間デザインコンペティション
グランプリ作品が決定!
11月8日~10日 スパイラルガーデン(東京青山)にて原寸模型が展示されます!
8/22(木)に第16回エイブル空間デザインコンペティション最終審査が行われ決勝大会に挑んだ8組の中からグランプリ、セミグランプリ作品が決定しました。
グランプリ
階段は本来、ワンルームには不要なものである。しかし、ワンルームに存在することで、階段は上り下りという機能から解放され、新たな価値を私たちに与えてくれるのではないだろうか。冗長性を持つ純粋階段をふたりの生活に組み込むことで、空間は視覚的な広がりを持ち、機能的な分節が生まれる。階段がもたらすのは、単なる物理的な区切りではなく、ふたりの距離感や時間を緩やかにゾーニングする柔らかな領域である。無用の中に潜む豊かさが、ふたりの暮らしにさらなる彩りを添え、静かに、そして確かに生活を形作っていく。
純粋階段のアフォーダンス
作者:大西 明日香
武蔵野美術大学造形学部建築学科
グランプリ受賞コメント:
この度は、グランプリという名誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。学生のうちに実物大展示という貴重な機会を得られたことを、今後の設計にしっかりと活かしていきたいと思っています。そして審査員の皆さまからいただいた言葉の一つひとつが、私にとってこれからの大きな指針となりました。その言葉を胸に抱き、これからも迷わずアクセルを踏み込み、新しい建築の形を模索していきたいと思います。
セミグランプリ
三人目がやってきた
作者:杉原大河 玖代鈴香 竹内純怜
広島工業大学 環境学部 建築デザイン学科
受賞コメント:
この度はセミグランプリをいただき大変嬉しく思います。今回のテーマの”ふたり”というキーワードに着目することで、ふたりのライフスタイルや関係性を読み解き、それをコンセプトや空間設計に落とし込んでいきました。出来上がった作品は私たちも実際に住みたいと思えるようなワクワクで溢れるようなものになったと思います。プレゼンの機会をいただけたことで、この作品を介して審査員の方々の意見をいただけたこと、他大学の学生との交流ができたことが新たな刺激となり、とても貴重な経験ができました。
入賞作品
層に住まう
作者:辻本雄一朗
早稲田大学創造理工学部建築学科田辺新一研究室
一人で過ごす時と二人で一緒に過ごす時との間の曖昧な距離感を大切にしたいと考え、各々が 居場所を見つけつつもお互いの活動を感じられるような層状のワンルームを設計しました。本設計において、2人を仕切るのは強い間仕切り壁ではなく、柔らかなカーテンや視覚的に重な り合うアーチです。アーチは暮らしの振る舞いを切り取るだけではなく、2人のものを共有する建具や多様な光空間を生み出す幕として機能します。多様なライフスタイルが存在する現代において、長期的な住みやすさや自由さ以外にも、住みこなしていくなかでの発見や新たな暮 らしの様相に価値があるかもしれません。そのひとつの選択肢として、一種の風景のような層の中でお互いの存在を感じあうような暮らし方を提案します。
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tasty room
作者:小野翼 内許博翔
新潟大学・工学部・工学科・建築学プログラム
ひとりよりもふたりで食べる方が楽しいのはなぜでしょうか?それは、ふたりでの食事が「心の味覚」を刺激するからです。 一緒に食事をする相手やその場の雰囲気は食事の体験に大きな影響を与えます。食事は単なる栄養補給以上のもので、人と共有することで得られる心理的な満足感や幸福感を感じることができます。 しかしながら、現代の生活を見てみると、人々は忙しない日常に追われる中で食事をおろそかにしています。 ルームメイトとの食を中心に据えた生活の中で、心の深いところから喜びや幸せを感じることができるワンルームを提案しました。 食卓を囲む時間は、日常の中で特別なひとときとなり、心の豊かさを広げてくれます。食事が中心にある暮らしは、ふたりの人生をより豊かにしてくれると考えます。
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7.39㎡の転回する壁体
作者:西本光 岡倉慎乃輔
東京藝術大学大学院
一般的なワンルーム28㎡の賃貸空間において、2人の人間の為の空間を用意することは容易ではない。なぜなら賃貸空間における必要最低限の機能や設備は既に最適化され、他者の介入を想定していない為である。そこで2人分の空間を隔てて用意するのではなく、ワンルーム28㎡を限りなく共有することで、ふたり部屋として提案することはできないだろうか。 賃貸空間における水回りの機能を7.39㎥の気積に集約し自立させる。空間の中心に配置された気積の内側ではトイレ、シャワールーム、キッチンなどの生活に必要最低限の機能と面積を備え、部屋の中心を軸として転回する。この約7.39㎥の気積は、28㎡の限られた面積を2人の人間の為のワンルームとして扱う装置としての提案である。
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ワン・ルームズ
作者:岩崎伸治
東京藝術大学大学院
ワン・ルームズ
私はひとつではない。
引き込まれるように小説を読んでいるわたし、難解な専門書を読んでいるわたし、電話をしながらキッチンに立っているわたし…枚挙にいとまがない。これら全てが異なるわたし、である。
ワン・ルームにはさまざまなモードのわたしが共存して、それが空間に記憶や痕跡として残ってゆく。自分の脱いだ洋服も、シーツのあとも、棚からのぞくグラスも、開け放しの戸も、、、
あれ、僕がしめ忘れたんだっけ?あらゆる光景が記憶であり痕跡である。
ワン・ルームにおける
いまのわたしと、痕跡という他者のくらし。
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行き着くふたり
作者:松野真翔
九州大学大学院人間環境学府空間システム専攻建築環境学コース
ふたりが互いの意思で部屋の使い方を決められ、距離感を自由に選択できる空間とは何か。行き詰まりやすい、フラットで閉ざされた絶対的ふたりの空間ではなく、外との連続性の中で共に居ることを感じられる相対的ふたりの空間を目指す。通常、街から共有空間を経て個室へと至る構成を、あえて個室の先にふたりの空間とすることで、個を確かに持ちながら、その上で「会いに行く」「落ち合う」「行き着く」場所としてふたりの空間を位置づける。そうすることで狭いワンルームでも互いを尊重し、節度を持った暮らしを意識しながら、その上で共に暮らしている喜びを分かちあえるのではないか。結果、全体から個の空間を引き算したふたりの空間となった。中央から躙口のように赴き、天井高の変化や奥行きの狭さによって外へと広がっていく空間である。ふたりの多様な活動が気ままに行われ、使い方が自然に多様に展開されていくだろう。
1Room 4Mode
作者:小野 巧真
京都大学大学院・工学研究科・建築学専攻
2人でワンルームに住むという特殊な状況下でどのようにしたら2人の関係性の変化に空間側が追従できるかと言うことを考えて提案しました。具体的には、揺籠と名付けた動く什器を1人分ずつ、計2つ導入しました。
この揺籠内にベッドや机などが内包されることで、それぞれの領域が確立されるとともに、それらが室内の長手方向を動くことで、空間のモードチェンジが可能となりました。什器同士が入れ子のように、最大半分まで入り込むことでベットが簡単に一体化できるところが最大の魅力です。
開催概要
16回目の開催となる「エイブル空間デザインコンペティション」は、空間デザインプラン・模型に加えてプレゼンテーション力が重要なコンテストとなります。書類審査通過者6組が模型とパワーポイントによるプレゼンテーションを実施。グランプリの作品はスパイラルガーデン(東京・青山)に実物大展示します。
募集要項
テーマ
ふたり部屋
兄弟、恋人、友人 etc…
ひとつの部屋を色々な形で2人で使う。
特定のスペースを共有したり、時間で使い分けたり。
自由な発想で2人の部屋の提案をお待ちしています。
設定空間 諸条件
ワンルーム28㎡
(幅4m×奥行き7m×高さ2.4m)の賃貸住宅空間
バス・トイレ・キッチンを設置
(ユニットバス可)
審査基準
賃貸住宅における新たな空間デザイン
また、模型の完成度を高め、インパクトと説得力のある表現で観客を魅了するプレゼンを行えること。
応募方法
テーマに添った空間デザインをコンセプトシートにて下記のエントリーフォームより応募
コンセプトシートのファイル形式はPDFとし、1枚目には、学校名と応募者名を記載すること
お問い合わせ
参加対象
大学生・大学院生・専門学校生・高専生
プレゼン審査において、模型を用いたプレゼンテーションができること
応募締切
2024年7月31日(水)
賞
グランプリ
賞金 20万円 +
スパイラルガーデン(東京・青山)での作品の実物大展示
セミグランプリ
賞金 10万円
入賞者
キャリア支援プログラム「エイブルデザインチーム」の活動に参加する権利を付与
近年のグランプリ受賞校
第15回(2023)京都工芸繊維大学大学院
第14回(2022)京都府立大学院
第13回(2021)神戸大学工学部
第12回(2020)京都府立大学大学院
第11回(2019) 明治大学建築学科
第10回(2018)東京大学建築学科
エイブルデザインチームとは
株式会社エイブルが学生キャリア支援プログラムとして、 2016年から賃貸物件のリノベーションをデザインする「エイブルデザインチーム」を発足。
エイブル空間デザインコンペティションの入賞者で構成されるエイブルデザインチームは、賃貸物件オーナーに向けてリノベーションデザインを提案したり、企業と商品化に向けたデザイン提案を行うなど、学生生活では経験できない様々なプロジェクトに参加することができます。
グランプリ展示
グランプリ作品をスパイラルガーデン(東京・青山)にて実物大展示いたします。
グランプリ受賞者が作成した設計図面を基に、事務局が手配する施工会社が
本人の立会いのもと施工させていただきます。
展示期間:2024年11月8日(金)~ 10日(日)
会 場:スパイラルガーデン(東京・青山)
※新型コロナウイルスの影響によって、グランプリ作品の会場での実物大展示が中止され、
オンラインでの最終審査~特設サイトでのグランプリ作品発表となる場合もございます。あらかじめご了承ください。
Youtube「IMAGINE大学」放送
審査の模様やスパイラルガーデン(東京・青山)でのグランプリ作品展示をYoutube「IMAGINE大学」でご紹介いたします。
主催
株式会社エイブル
協力
DESIGN ASSOCIATION NPO
運営
TOKYO COMPANY 株式会社
審査委員
谷尻 誠(審査委員長)
建築家
1974年 広島県生まれ
1994年 本兼建築設計事務所
1999年 HAL建築工房
2000年 建築設計事務所suppose design office 設立
2014年 SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 設立 共同主宰
2001年- 穴吹デザイン専門学校非常勤講師
2011年- 広島女学院大学 客員教授
2012年-2016年 武蔵野美術大学 非常勤講師
2014年-2016年 昭和女子大学 非常勤講師
2015年- 大阪芸術大学准教授
社食堂、絶景不動産、21世紀工務店、未来創作所、Bird bath & KIOSK、tectureを経営
https://suppose.jp/
成瀬 友梨(審査委員)
第1回エイブル空間デザインコンペティション グランプリ受賞
成瀬・猪熊建築設計事務所 / 一級建築
1979 愛知県生まれ
1998 愛知県立一宮高等学校卒業
2002 東京大学工学部建築学科卒業
2004 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2005-06 成瀬友梨建築設計事務所主宰
2007 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 博士課程単位取得退学
2007 成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立
2008-09 東京理科大学非常勤講師
2009 東京大学特任助教
2010-17 東京大学助教
2022~ グッドデザイン賞審査委員
猪熊 純(審査委員)
第1回エイブル空間デザインコンペティション グランプリ受賞
成瀬・猪熊建築設計事務所 / 一級建築士
1977 神奈川県生まれ
1996 栃木県立宇都宮高校卒業
2002 東京大学工学部建築学科卒業
2004 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2004-06 千葉学建築計画事務所勤務
2007 成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立
2008~ 首都大学東京助教
2014 明治大学非常勤講師
2014~ 神奈川大学非常勤講師
2015~ 東北大学非常勤講師
2018-21 グッドデザイン賞審査員
2024 芝浦工業大学教授
茂木 健一郎(審査委員)
脳科学者
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。
「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。
2009年『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
Youtube『IMAGINE大学』メインMC。
トラウデン 直美(審査委員)
モデル・タレント
京都府出身。ドイツ人の父と日本人の母を持つ。
「2013ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリを受賞。
13歳で小学館「CanCam」の史上最年少専属モデルとしてデビュー。
2021年7月発売のCanCam9月号にて、専属モデル歴史上最長記録を更新。
雑誌やファッションショーのほか報道や情報番組でも活躍中。
2021年1月より「環境省サスティナビリティ広報大使」を務める。
平田 竜史(審査委員)
株式会社エイブルホールディングス 代表取締役社長
審査フロー
一次審査
書類審査
プレゼン審査
書類通過者 最大6組による 模型&プレゼンテーション審査(8月 東京都内にて開催)
グランプリ・セミグランプリ決定
エイブル空間デザインコンペティション優秀作品展
2025年11月8日~10日 スパイラルガーデン(東京・青山)にて開催。
グランプリ作品の実寸大展示のほか、優秀作品の模型を展示予定