第15回 エイブル空間デザインコンペティション


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私はワンルームの「手に負える感じ」が好きだ。どこにいても全体を把握できる一体感、人体寸法に近いスケールの親近感。その一方で、戸建住宅等がもつ部屋ごとの領域性が生活にメリハリを生んでいることもまた確かである。双方の魅力が共生する新しいワンルームの質を目指した。私たちが生活の「機能」と呼んでいるものは、モノとその周りに人のための余白があって初めて成立する。本提案では小さな余白を部屋の内側に集めて、他方を厚みのある壁に収めている。すると、中心にもう1つの部屋が生まれた。ここはすべての生活機能が半分ずつ押し寄せて混ざり合う、つかみどころのない「場」である。ワンルームに内と外という概念が芽生え、中心の余白は住み手によって自由に使われ方を変化させる中庭のような存在となる。ここでのふるまいはすべての生活機能にはたらきかけ、個性の表象としてこのいえが完成するだろう。部屋未満のスケールに焦点をあてた究極のワンルームである。

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グランプリ受賞コメント

この度はグランプリという栄えある賞をいただき、大変光栄に思います。私自身、学外で提案を評価いただく機会は初めてなのですが、審査員の方々にはコンセプトやアイデアのみならず、実空間としての心地よさや使いやすさも併せて評価いただきました。学生のアイデアコンペであっても、それが様々な意味で現実世界に成立し得るかという観点は重要視されるべきだと考えています。アイデアはアイデアのためではなく、まだ見ぬ空間のためにあります。私が6年間の学生生活で培ったものを拾い上げてくださり大変うれしく感じると同時に、これからも世界を豊かにする空間への想像力を絶えず育み、建築設計という歓びある行為にひたむきに向き合いたいと思います。

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会話―それはよくキャッチボールに例えられる。相手を思いやりながら双方に言葉を投げかけ、受け取る。人と人なら、言語を通じて会話は簡単である。しかし、人と壁ではどうだろう。壁は人に対して受動的な立場になる。例えば、もたれかかれられたり、立て掛けられたり、ひっかけられたり。そこで、「壁」を折り曲げることにより、「人」の暮らしに干渉し「会話」のきっかけを作り出す。この操作によって生まれた、ベンチやカウンター、収納は「壁」からの暮らしの提案であり、「会話」のきっかけである。「人」はそれを受け取り、そこに座ったり、囲まれたり、ひっかけたり、物を置いたりすることで「壁」に返事をする。会話はこれで終わらない。折り曲げた壁の隙間から、光や風が通り抜ける。「壁」の働きかけと、「人」の暮らしによって、空間の質が常に変化しながら、壁との会話は続いていく。
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セミグランプリ受賞コメント

この度はセミグランプリという素敵な賞をいただき、ありがとうございます。今回のテーマは"壁"、"会話"、"1R"とは何か、改めて考えるきっかけになりました。これらを根本的に見直すことで、新たな視点で設計ができたと感じております。審査員の方々にはさまざまなご意見をいただき、評価していただけたことに感謝いたします。このような貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

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作品名:c-Wall
作者:宮澤周平 / 川畑奨太/森田慶助
所属:福井大学大学院 工学研究科 安全社会基盤工学専攻 建築土木環境工学コース

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作品名: WALL FOREST
作者:原田爽一朗
所属:コロンビア大学大学院GSAPP

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作品名:生活を映す壁
作者:粕谷しま乃/曽根大矢
所属:近畿大学大学院システム工学研究科 システム工学専攻建築コース

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作品名:暗がりと記憶
作者:石井 陸生 / 小瀬木駿
所属:法政大学大学院 デザイン工学研究科建築学専攻

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第15回決勝大会の模様(LIVE配信)

開催概要

15回目の記念開催となる「エイブル空間デザインコンペティション」は、空間デザインプラン・模型に加えてプレゼンテーション力が重要なコンテストとなります。
書類審査通過者6組が東大福武ホールで模型とパワーポイントによるプレゼンテーションを実施。
グランプリの作品はスパイラルガーデン(東京・青山)に実物大展示の後、ミラノサローネへ出展します。


募集要項


テーマ

壁と会話する WALL ROOM


「壁」一枚で空間ができる、私たちの部屋は「壁」でできていると言えます。

毎日 常に向き合う「壁」。未来の空間はどんな「壁」に囲まれているのでしょうか。

自由な発想でアイデアを募集いたします。


設定空間 諸条件

ワンルーム24㎡
(幅4m×奥行き6m×高さ2.4m)の賃貸住宅空間

バス・トイレ・キッチンを設置
(ユニットバス可)


審査基準

賃貸住宅における新たな空間デザイン

また、模型の完成度を高め、インパクトと説得力のある表現で観客を魅了するプレゼンを行えること。

応募方法

テーマに添った空間デザインをコンセプトシートにて下記のエントリーフォームより応募
コンセプトシートのファイル形式はPDFとし、1枚目には、学校名と応募者名を記載すること

お問い合わせ

info@designassociation.jp


参加対象

大学生・大学院生・専門学校生・高専生
プレゼン審査において、模型を用いたプレゼンテーションができること

応募締切

2023年7月31日(月)

たくさんのご応募ありがとうございました!

グランプリ:賞金 20万円 + 東京・ スパイラルガーデン(東京・青山)での作品の実物大展示
ミラノサローネへの招待・出展

セミグランプリ:賞金 10万円     

入賞者:キャリア支援プログラム「エイブルデザインチーム」の活動に参加する権利を付与


近年のグランプリ受賞校

第14回(2022)第14回 京都府立大学院
第13回(2021)神戸大学工学部
第12回(2020)京都府立大学大学院
第11回(2019) 明治大学建築学科
第10回(2018)東京大学建築学科


エイブルデザインチームとは

株式会社エイブルが学生キャリア支援プログラムとして、 2016年から賃貸物件のリノベーションをデザインする「エイブルデザインチーム」を発足。
エイブル空間デザインコンペティションの入賞者で構成されるエイブルデザインチームは、
賃貸物件オーナーに向けてリノベーションデザインを提案したり、企業と商品化に向けたデザイン提案を行うなど、
学生生活では経験できない様々なプロジェクトに参加することができます。


グランプリ展示

グランプリ作品をスパイラルガーデン(東京・青山)にて実物大展示いたします。

グランプリ受賞者が作成した設計図面を基に、事務局が手配する施工会社が
本人の立会いのもと施工させていただきます。

展示期間:2023年11月17日(金)~ 19日(日)
会  場:スパイラルガーデン(東京・青山)

※新型コロナウイルスの影響によって、グランプリ作品の会場での実物大展示が中止され、
オンラインでの最終審査~特設サイトでのグランプリ作品発表となる場合もございます。あらかじめご了承ください。



テレビ番組『ディスカバリーチャンネル「IMAGINEZ大学 with Discovery」』放送

審査の模様やスパイラルガーデン(東京・青山)でのグランプリ作品展示をCS放送『ディスカバリーチャンネル「IMAGINEZ大学 with Discovery」』でご紹介いたします。

【 番組 放送日時 】
・CS放送 ディスカバリーチャンネルにて毎週金曜午後8時より (翌週曜午前7時より再放送)
ディスカバリーチャンネル 公式WEBサイトにて、無料配信
デザインアソシエーションNPO YouTubeチャンネルにて、無料配信

※参考 特別編【第13回】エイブル空間デザインコンペティション レポート「SDGsが近未来の住まいを変える」

主催

デザインアソシエーション

協力

ディスカバリーチャンネル エイブル

審査員



谷尻 誠(審査委員長)

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建築家

1974年 広島県生まれ
1994年 本兼建築設計事務所
1999年 HAL建築工房
2000年 建築設計事務所suppose design office 設立
2014年 SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 設立 共同主宰

2001年- 穴吹デザイン専門学校非常勤講師
2011年- 広島女学院大学 客員教授
2012年-2016年 武蔵野美術大学 非常勤講師
2014年-2016年 昭和女子大学 非常勤講師
2015年- 大阪芸術大学准教授

社食堂、絶景不動産、21世紀工務店、未来創作所、Bird bath & KIOSK、tectureを経営
https://suppose.jp/

猪熊 純(審査委員)

第1回エイブル空間デザインコンペティション グランプリ受賞

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成瀬・猪熊建築設計事務所 / 一級建築士
1977   神奈川県生まれ
1996   栃木県立宇都宮高校卒業
2002   東京大学工学部建築学科卒業
2004   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2004-06  千葉学建築計画事務所勤務
2007   成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立
2008~  首都大学東京助教
2014   明治大学非常勤講師
2014~  神奈川大学非常勤講師
2015~  東北大学非常勤講師
2016   芝浦工業大学非常勤講師

https://www.narukuma.com/

成瀬 友梨(審査委員)

第1回エイブル空間デザインコンペティション グランプリ受賞

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成瀬・猪熊建築設計事務所 / 一級建築士

1979   愛知県生まれ
1998   愛知県立一宮高等学校卒業
2002   東京大学工学部建築学科卒業
2004   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2005-06  成瀬友梨建築設計事務所主宰
2007   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 博士課程単位取得退学
2007   成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立
2008-09  東京理科大学非常勤講師
2009   東京大学特任助教
2010-17  東京大学助教

https://www.narukuma.com/

茂木 健一郎(審査委員)

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脳科学者

ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。
「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。
2009年『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
2006年1月より2010年3月まで、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』キャスター。BS日テレ『IMAGINE 発想の種』番組MC。ディスカバリーチャンネル『IMAGINEZ大学』メインMC。

トラウデン 直美(審査委員)

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モデル・タレント

京都府出身。ドイツ人の父と日本人の母を持つ。
「2013ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリを受賞。
13歳で小学館「CanCam」の史上最年少専属モデルとしてデビュー。
2021年7月発売のCanCam9月号にて、専属モデル歴史上最長記録を更新。
雑誌やファッションショーのほか報道や情報番組でも活躍中。
2021年1月より「環境省サスティナビリティ広報大使」を務める。

平田 竜史(審査委員)

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株式会社エイブルホールディングス 代表取締役社長

審査フロー


一次審査

書類審査

プレゼン審査

書類通過者 最大6組による 模型&プレゼンテーション審査(8月23日(水) 東京都内にて開催)

グランプリ・セミグランプリ決定



エイブル空間デザインコンペティション優秀作品展

 2023年11月17日~19日 スパイラルガーデン(東京・青山)にて開催。グランプリ作品の実寸大展示のほか、優秀作品の模型を展示予定


2024年4月 グランプリ作品 MILANOで展示予定